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早朝勉強会 2002年5月23日の分

1、 (続)小さいシューズとアキレス腱 (配布資料1枚)

 前回話題となった小さいシューズがアキレス腱に及ぼす影響についてでした。調べてみると小さいシューズを履くとアキレス腱が単に圧迫され、負担がかかるとのことでした。そのため、アキレス腱が当たる部分はカットしているそうです。
 参加者の方が調べて持ってきてくれた「小さめシューズの弊害」という雑誌の記事(配布資料となりました)ですが、内容に関して理解しづらい部分がありました。結論としてはこの記事を書いた人は、きちんとした理論をもっていると思うのですが、記事の表現では少し分かりづらいのでは という事になりました。
 トレーナーとしては小さめのシューズを履く事はスポーツ傷害予防の観点からそのメカニズム、そしてその実例(話のもとになった本「金メダルシューズのつくり方“世界のミムラ”が明かすシューズ職人の哲学」(三村仁司  情報センター出版局)にはオリンピックメダリストの話が書かれています)を話せればよいのではないでしょうか。

2、 フォームローラーについて

 最近の勉強会で何度か話題となっているフォームローラーの使い方の実技、デモンストレーションでした。フォームローラーはバランスをとりながら各種のトレーニングを行なったりすることで、かなりハードに使用することもできるらしいのですが、今回は身体を癒す、整える事を目的とした使用法を紹介していただきました。一連の動作が終わった後は、背中が床に吸いつけられるような、身体か床に沈んで行くような(人によって表現が違うのです)感覚が残りました。治療家の先生方、専門学校の学生などにも紹介しているのですが、各所で大絶賛だったそうです。

3、 内側広筋の断裂

 先日、初めて内側広筋の断裂を見たという報告でした。
 アキレス腱断裂のときもそうなのですが、筋肉もスパッと断裂すると、自発痛が無い事が多いのです。ただ、圧痛、運動痛は著明です。治癒過程ですが、断端がきちんと寄せられたままでいれば少しの瘢痕組織が残るだけで治癒しますが、多くの場合そうはいきません。筋断裂の多くは断端が少し開いたまま治癒するので、断端が盛り上がり、断裂部に間凹をのこしたまま治癒します。そんなわけで、今回の場合も現在は受傷時よりも患部の窪みが大きくなっているかもしれません。
 大きなケガが起こったときはその状態を記録するために写真を撮る事をお勧めします。後でこのような会で多くの人が勉強できるだけでなく、その選手本人が回復の過程で「こんな状態からここまで戻って来れたんだ、あと少しだ」と写真が励みになる(場合によって励みにさせる)こともあるのです。 ポイントとしては影をつける為にノーフラッシュで撮影するということです。

4、 切創、割創の応急処置について

 サッカーのゴールを運ぶ際、注意不足で眼の上にぶつけ、その部分が切れるという事故が起きました。その時にサージカルテープで傷をふさぐといった処置をし、その後ドクターの診断で縫合なしでよいということになりました。 という報告でした。
 今回の場合は適切な処置が行なわれたと思います。しかし、開放性損傷で一番気をつけなければならないことは感染です。いくら上手く傷をふさぐ事ができたとしても感染を起こしていれば危険な状態を作ってしまう事があるからです。とにかく感染には気をつけてください。傷をふさぐ処置をおこなうものとして、バタフライというものもあります。これは全てが粘着面でなくバンドエイドのように両隅が粘着面となっていて傷口に粘着物がつかないようになっているものもあります。
 擦過創の場合、最近はソフラチュールをつかうことが多いようです。

5、 肩の脱臼について

 ここ1ヶ月程で2件の脱臼に遭遇しました。はじめの1人は整復できたのですが、後の1人は整復する事ができませんでした。聞くところによると、前回脱臼した際、麻酔を使って無理矢理整復したとのことでした。今回も病院にいきました。ドクターは麻酔をしたのですが、麻酔が効いてくる前に整復してしまったとのことで、参加者の方はショックを受けているとのことでした。
 肩の脱臼はその選手の痛みに対する抵抗力、脱臼の種類、などいろいろな要素がからんで整復に影響します。一番関係が深いのは筋肉の緊張です。筋が緊張していたらどんな方法を用いたとしても整復は不可能です。今回の場合もひょっとすると、病院についてドクターの診察を受けられる事、麻酔をしたことで緊張が取れたのかもしれません。
 脱臼の整復は本来、有資格者が行なうべきもので、無資格者は行なってはいけません。無資格であるならば、無理に整復しようとせず、その肢位、その角度で固定して病院に行くということが正しい処置ということもあります。
 肩の脱臼は癖になりやすいものです、きちんとした処置、固定、リハビリを行なう事が再脱臼の防止につながると思います。

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